【続報・社労士の視点】障害年金再判定の動きと、遡及的な救済の必要性

先日、「【社労士の視点】障害年金審査に「見えざる手」? 不支給倍増と内部文書が示すもの」と題したコラムを投稿いたしました。その中で、2024年頃から障害年金の審査において不支給決定や低い等級決定が著しく増加している実態、また2024年度には不支給決定件数が前年度比で倍増したという報道や、機構側が認定医に対し不支給等に繋がるような「判断誘導」とも取れる内部文書を作成・使用していた可能性に触れ、組織的な「結論ありき」の審査運用に対する強い懸念を表明しました。

そのような中、2025年5月29日付の共同通信の報道(Yahoo!ニュース配信)によると、厚生労働省は参院厚労委員会の理事会で、日本年金機構が障害年金の不支給事案の一部について、処分決定前に判定を事実上やり直していたことを認めました。厚労省はこれを「不支給と見込まれた事案について、より丁寧な審査を行った」と説明しており、具体的には「判定医の審査過程で不支給と見込まれた事案について、より丁寧な審査を行う観点から、(担当部署の)障害年金センターに配置される常勤医師による確認を行った」とのことです。これは、2025年3月に共同通信が報じた不支給判定の急増問題を受けた対応の一環とされています。

ここで改めて注目すべきは、先のコラムでも触れた、審査が厳格化したとされる時期です。報道では、2023年10月に就任したセンター長の「厳しい考え方」により審査が厳格化した可能性が示唆されており、これが2024年度の不支給決定急増の一因ではないかと懸念されています。

もし仮に、今後の調査の結果、この2023年10月以降、実際に障害年金の審査が一律に厳格化されていたという事実が明確に判明した場合、現在行われている「処分決定前の案件」に対する再確認だけでは不十分だと考えます。

なぜなら、その厳格化が始まったとされる時期以降に、既に不支給や著しく低い等級での決定を受けてしまった方々が多数存在する可能性があるからです。これらの決定が、もし強化された審査基準や不適切な内部運用のもとで下されたものであったならば、その方々は本来受給できたはずの年金を不当に受け取れていない、あるいは過小に評価されている状況に置かれていることになります。

したがって、万が一、2023年10月以降の審査において組織的な厳格化があったという事実が公式に確認された際には、単にこれから決定が出る案件を見直すだけでなく、既に決定が出てしまった案件、特に従来の等級の目安から明らかに外れるような厳しい決定がなされた案件についても、遡って再審査を行うべきであると強く考えます。 これは、公平性の担保と、影響を受けた可能性のある方々の権利救済のために不可欠な措置です。

私たち社会保険労務士は、引き続き日本年金機構及び厚生労働省に対し、徹底的な事実究明、審査プロセスの透明化、そして判定の公平公正を確保するための具体的な改善策を強く求めてまいります。そして、もし過去に遡って不利益を被った可能性のある方々がいるのであれば、その救済措置が講じられるよう、声を上げ続ける所存です。

障害年金の請求は、病気やけがと闘う方々にとって生活の根幹に関わる切実な問題です。今回の再判定の動きが一過性のものに終わらず、真に公正な制度運用へと繋がることを、そして必要ならば過去の決定に対しても光が当てられることを切に願います。

障害年金の請求でお困りの方、あるいは過去の決定にご納得がいかない方は、諦める前に一度、私たち専門家にご相談ください。最新の動向を踏まえ、皆様をサポートさせていただきます。


<出典>

・障害年金の再判定、実質認める 厚労省「処分前の事案」(Yahoo!ニュース/共同通信 2025年5月29日配信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/2e33cda41d157b0698b3f29e9fa731af1fc87c8f


障害年金無料診断キャンペーン
ご相談者様からたくさんのありがとうが届いています!
     
9:00-18:00 (平日・土曜日)06-6777-3032