ヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV・エイズ)の障害認定基準

障害年金には1級・2級・3級の3つの等級があります。加入していた年金制度によって受け取れる等級が異なります。国民年金は1級・2級まで、厚生年金は1級から3級まで(および障害手当金)が対象となります。

ヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV・エイズ)の認定は、自覚症状や他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病状の経過、治療による副作用などを総合的に考慮して行われます。

1. 障害の程度の目安(認定の判定基準)

HIV感染症の認定においては、厚生労働省の通知により、具体的な「等級判定の目安」が定められています。
以下の【パターンA】または【パターンB】のいずれかに該当する場合、それぞれの等級に認定される目安となります。

各等級の要件

等級 認定の目安(条件の組み合わせ)
1級 以下の【A】または【B】のいずれかを満たすもの

【A】 以下のすべてを満たす
① CD4値が 200/μl以下
検査項目のうち 3つ以上
身体症状のうち 4つ以上
【B】 回復不能なエイズ合併症
回復不能なエイズ合併症のため、介助なくしては日常生活がほとんど不可能な状態
2級 以下の【A】または【B】のいずれかを満たすもの

【A】 以下のすべてを満たす
① CD4値が 200/μl以下
検査項目のうち 2つ以上
身体症状のうち 3つ以上
【B】 以下のすべてを満たす
① CD4値が 200/μl以下
エイズ発症の既往歴がある
3級 以下の【A】または【B】のいずれかを満たすもの

【A】 以下のすべてを満たす
① CD4値が 350/μl以下
検査項目のうち 2つ以上
身体症状のうち 2つ以上
【B】 以下のすべてを満たす
① CD4値が 350/μl以下
エイズ発症の既往歴がある

※CD4値は、4週以上の間隔をおいた直近の連続する2回の検査値の平均値を用います。

2. 判定に用いる「検査項目」と「身体症状」の詳細

上記の等級判定で使用する「検査項目」と「身体症状」の具体的な内容は以下の通りです。

【検査項目】(異常検査所見)

以下の項目のうち、いくつ該当するかをカウントします。
※4週以上の間隔をおいた直近の検査において、連続して2回以上続くこと。

  • 白血球数が 3,000/μl 未満
  • ヘモグロビン量が 男性12g/dl 未満、女性11g/dl 未満
  • 血小板数が 10万/μl 未満
  • HIV-RNA量が 5,000コピー/ml 以上

【身体症状等】(副作用含む)

以下の項目のうち、いくつ該当するかをカウントします。

  1. 1日1時間以上の安静臥床を必要とするほどの強い倦怠感及び易疲労感が月に7日以上ある
  2. 病態の進行のため、健常時に比し10%以上の体重減少がある
  3. 月7日以上の不定の発熱(38℃以上)が2ヶ月以上続く
  4. 1日に3回以上の泥状ないし水様下痢が月に7日以上ある
  5. 1日に2回以上の嘔吐あるいは30分以上の嘔気が月に7日以上ある
  6. 動悸や息苦しくなる症状が毎日のように出現する
  7. 抗HIV療法による副作用(上記以外の症状)により日常生活に支障が生じている
  8. 生鮮食料品の摂取禁止等の日常生活活動上の制限が必要である
  9. 1年以内に日和見感染症(口腔カンジダ、帯状疱疹など)の既往がある
  10. 医学的理由(副作用等)により抗HIV療法ができない状態である

3. その他の考慮事項

悪性腫瘍の合併について

エイズ指標疾患に含まれる悪性腫瘍(カポジ肉腫、悪性リンパ腫、浸潤性子宮頸癌など)のほか、肛門癌、肺癌、ホジキンリンパ腫などについても、HIV感染症との関連を考慮し、総合認定または併合認定の対象となります。

治療の副作用について

抗HIV療法は長期にわたる継続が必要であり、それに伴う副作用(貧血、下痢、嘔吐、精神神経症状など)が労働や日常生活に支障をきたす場合、それらも障害の状態として評価されます。

最後に

記事をお読みいただいて、「自分の場合はどうだろう?」と思われた方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、当法人へご相談ください。

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参考:ヒト免疫不全ウイルス感染症に係る障害認定における留意事項の追加について(厚生労働省)

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