心臓の障害(循環器障害)の障害認定基準
障害年金には1級・2級・3級の3つの等級があります。加入していた年金制度によって受け取れる等級が異なります。国民年金は1級・2級まで、厚生年金は1級から3級まで(および障害手当金)が対象となります。
心疾患の認定は、弁疾患、心筋疾患、虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)、難治性不整脈、大動脈疾患、先天性心疾患などに区分して行われますが、最終的には心機能低下による「慢性心不全」の状態や、日常生活能力を総合的に判断します。
1. 心疾患の障害認定基準(全体像)
心疾患の等級判定は、主に以下の3つの要素を組み合わせて行われます。
- 臨床所見:自覚症状(動悸・息切れ等)と他覚所見(浮腫・チアノーゼ等)
- 検査成績:心電図、心エコー、BNP値、EF値(駆出率)など
- 一般状態区分:日常生活における制限の度合い
【重要】一般状態区分表(日常生活の制限度)
| 区分 | 一般状態の状態 |
| ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
| イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業(軽い家事や事務等)はできるもの |
| ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
| エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
| オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
2. 疾患別の認定基準
心疾患の種類ごとに、重視される検査項目や認定の目安が異なります。
① 弁疾患・心筋疾患・虚血性心疾患・先天性心疾患
これらの疾患は、心不全の重症度(NYHA分類)や検査数値異常の数によって認定されます。
| 等級 | 障害の状態 |
| 1級 | 病状が重篤で安静時においても心不全の症状(NYHAクラスⅣ)を有し、かつ、一般状態区分表の「オ」に該当するもの |
| 2級 |
異常検査所見(後述)などが認められ、かつ、一般状態区分表の「エ」又は「ウ」に該当するもの ※NYHAクラスⅢ(軽労作で症状が出る)程度が目安です。 |
| 3級 |
異常検査所見(後述)などが認められ、かつ、一般状態区分表の「ウ」又は「イ」に該当するもの ※人工弁を装着した場合や、EF値50%以下などの場合も含みます。 |
【参考:NYHA心機能分類(自覚症状の目安)】
- Ⅰ度:身体活動に制限はない。
- Ⅱ度:坂道や階段など、通常の身体活動で動悸・息切れがする。
- Ⅲ度:平地を歩くなど、軽度の身体活動で動悸・息切れがする。(2級相当の目安)
- Ⅳ度:安静にしていても心不全症状や狭心痛がある。(1級相当の目安)
② 難治性不整脈
ペースメーカーやICD(植込み型除細動器)を装着しているかどうかが大きな判断基準となります。
| 等級 | 障害の状態 |
| 1級・2級 | ペースメーカー等を装着していてもなお、心不全症状や失神等の発作が頻発し、一般状態区分表の「オ」~「ウ」に該当する場合 |
| 3級 |
ペースメーカー、またはICD(植込み型除細動器)を装着したもの ※原則として、装着した時点で3級に認定されます。 |
③ 大動脈疾患(解離・動脈瘤)
| 等級 | 障害の状態 |
| 3級 |
|
3. 重要な検査所見の基準(異常検査所見)
診断書において、以下の数値や所見が認められるかどうかが、等級判定の重要なカギとなります。
| 区分 | 検査所見の内容 |
| A | 安静時心電図で、0.2mV以上のST低下、または0.5mV以上の深い陰性T波がある |
| B | 負荷心電図等で明らかな心筋虚血所見がある |
| C | 胸部X線で心胸郭係数(CTR)60%以上、または明らかな肺うっ血・肺水腫がある |
| D | 心エコー図で中等度以上の左室肥大と心拡大、弁膜症、収縮能低下等がある |
| E | 心電図で重症な頻脈性または徐脈性不整脈所見がある |
| F | 左室駆出率(EF値)が40%以下 |
| G | BNP値が200pg/ml相当を超える |
| H | 重症冠動脈狭窄(左主幹部50%以上、または3本に75%以上)がある |
4. 特殊なケースの認定(移植・CRTなど)
最重症の治療を行った場合の取り扱いは以下の通りです。
💡 人工臓器・移植・高度医療機器の特例
| 1級 |
※術後1~2年は1級とされ、その後は症状により再認定されます。 |
| 2級 |
※これらを装着した場合は、原則として2級に認定されます。 |
5. 障害認定日の特例
通常、障害認定日は初診日から1年6ヶ月後ですが、心疾患でペースメーカー等の手術を受けた場合は、以下のように特例があります。
- ペースメーカー、ICD、人工弁を装着した場合:
装着した日が障害認定日となります。
(※ただし、初診日から1年6ヶ月以内に手術を行った場合に限ります。1年6ヶ月を過ぎている場合は、通常通り1年6ヶ月時点または事後重症請求となります。)
最後に
記事をお読みいただいて、「自分の場合はどうだろう?」と思われた方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、当法人へご相談ください。
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