腎臓の障害認定基準
障害年金には1級・2級・3級の3つの等級があります。加入していた年金制度によって受け取れる等級が異なります。国民年金は1級・2級まで、厚生年金は1級から3級まで(および障害手当金)が対象となります。
腎疾患の認定の対象となる主な病気は、慢性腎不全、慢性腎炎(ネフローゼ症候群を含む)、糖尿病性腎症、腎硬化症などです。
1. 慢性腎不全の障害認定基準
慢性腎不全の認定は、以下の「検査成績(腎機能の数値)」と「一般状態区分表(日常生活の制限度)」を組み合わせて総合的に判断されます。
【慢性腎不全】等級の目安
| 等級 | 障害の状態 |
| 1級 | 検査成績が高度異常を示し、かつ、一般状態区分表の「オ」に該当するもの |
| 2級 |
|
| 3級 | 検査成績が軽度以上の異常を示し、かつ、一般状態区分表の「ウ」または「イ」に該当するもの |
【重要】用語の解説(検査成績の異常値)
表の中にある「高度異常」「中等度異常」などの区分は、以下の検査数値によって定義されています。
※eGFR(推算糸球体濾過量)の数値が記載されている場合は、血清クレアチニンの代わりにeGFRを用いて判定できます。
| 区分 | eGFR (ml/分/1.73㎡) |
血清クレアチニン (mg/dl) |
Ccr (ml/分) |
| 軽度異常 | 10以上 ~ 20未満 | 3以上 ~ 5未満 | 20以上 ~ 30未満 |
| 中等度異常 | 10未満 | 5以上 ~ 8未満 | 10以上 ~ 20未満 |
| 高度異常 | ― | 8以上 | 10未満 |
※Ccr:内因性クレアチニンクリアランス
【重要】一般状態区分表(日常生活の制限度)
| 区分 | 一般状態の状態 |
| ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
| イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業(軽い家事や事務等)はできるもの |
| ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
| エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
| オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
2. 人工透析療法の取り扱い
人工透析(血液透析・腹膜透析)を受けている場合は、特例的な認定が行われます。
💡 人工透析を受けている方へ
人工透析療法を施行中のものは、原則として2級と認定されます。
【認定のポイント】
- 主要症状、検査成績、長期透析による合併症の有無、日常生活状況等によっては、さらに上位の1級に認定される可能性があります。
- 障害認定日の特例として、人工透析を初めて受けた日から起算して3ヶ月を経過した日が認定日となります。(※初診日から1年6ヶ月以内の場合)
3. ネフローゼ症候群の障害認定基準
ネフローゼ症候群の認定では、尿蛋白量や血清アルブミン値などの検査成績が重視されます。
【ネフローゼ症候群】等級の目安
| 等級 | 障害の状態 |
| 3級 | 以下の異常検査所見があり、かつ、一般状態区分表の「ウ」または「イ」に該当するもの |
【重要】異常検査所見の基準
ネフローゼ症候群で3級に該当するためには、以下の「ア」に該当し、かつ「イ」または「ウ」のいずれかに該当する必要があります。
| 区分 | 検査項目 | 異常値の基準 |
| ア | 尿蛋白量 | 3.5g/日以上を持続 |
| イ | 血清アルブミン | 3.0g/dl以下 |
| ウ | 血清総蛋白 | 6.0g/dl以下 |
4. 腎臓移植の取り扱い
腎臓移植を受けた場合、認定基準は以下のようになります。
💡 腎臓移植後の認定について
- 認定の方法:術後の症状、治療経過、検査成績及び予後等を十分に考慮して総合的に認定されます。
- 等級の継続:すでに障害年金を受給している方が腎臓移植を受けた場合、臓器が生着し安定的に機能するまでの間を考慮し、術後1年間は従前の等級(手術前の等級)が継続されます。
最後に
記事をお読みいただいて、「自分の場合はどうだろう?」と思われた方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、当法人へご相談ください。
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