重複障害の障害認定基準
障害年金には1級・2級・3級の3つの等級があります。加入していた年金制度によって受け取れる等級が異なります。国民年金は1級・2級まで、厚生年金は1級から3級まで(および障害手当金)が対象となります。
複数の障害がある場合、それぞれの障害を個別に判定するのではなく、それらを総合的に評価して等級を決定します。これを「併合認定(へいごうにんてい)」と呼びます。
1. 併合認定の基本と「3級の落とし穴」
複数の障害がある場合、原則として「併合認定表」に基づいて等級が決定されます。
しかし、「3級と3級があれば必ず2級になる」というのは間違いです。ここには厳格なルールが存在します。
【重要】併合認定表による計算上の目安
| 障害A | + | 障害B | = | 併合後の等級 |
| 2級 | + | 2級 | → | 1級 |
| 2級 | + | 3級 | → | 2級 (※原則1級にはなりません) |
| 3級 | + | 3級 | → | 注意が必要 (多くの場合3級のまま) |
⚠️ 「3級+3級=2級」にならないケース(3級7号の壁)
障害認定基準では、3級の状態をいくつかの「号(ごう)」に分類しています。
- 3級1号~6号、8号~13号:手足の欠損や人工関節、人工弁など、明確な物理的・数値的基準があるもの。
- 3級14号(旧7号):「労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの」。
※内科系疾患や精神疾患の多くはここに該当します。
【審査上のルール】
3級14号(旧7号)同士の障害を併合しても、原則として2級には上がらず、3級(14号)にとどまります。
つまり、「仕事に制限がある病気(3級)」が2つあっても、「日常生活に著しい制限がある状態(2級)」とは直ちに認められないケースが大半です。
2. 総合認定(内科的疾患などの特例)
内科的疾患(呼吸器、循環器、腎臓、肝臓、血液・造血器、代謝、悪性新生物など)が複数ある場合や、内科的疾患と精神障害が併存している場合は、単純に等級を組み合わせる「併合認定」を行わず、「総合認定」という方法をとります。
| 認定方法 | 考え方 |
| 総合認定 |
それぞれの障害が独立して日常生活を制限するのではなく、症状(全身倦怠感や活動制限など)が重複している場合に行われます。 例:心疾患(3級相当)と腎不全(3級相当)がある場合 |
3. 差引認定と「はじめて2級」
もともと障害(前発障害)を持っていた方が、新たに別の障害(後発障害)を負った場合の取り扱いです。
🔍 はじめて2級(1級)の請求
過去に障害(障害年金を受けていない3級以下の障害)と、新たな障害を併合した結果、初めて2級以上の状態に該当した場合、請求により障害年金が支給される制度です。
【要件】
- 後発障害の障害認定日以後に、前発障害と併せて2級以上の状態にあること。
- 65歳の誕生日の前々日までに請求すること。
※重要:法律上「65歳に達する日(誕生日の前日)」のさらに前日が期限となります。1日でも過ぎると請求できなくなるためご注意ください。 - 前発障害についても、初診日を証明できること(受給要件は問われません)。
4. 認定要領の基本パターン(定義)
障害認定基準における基本的な等級の目安は以下の通りです。
| 等級 | 定義(目安) |
| 1級 |
身体機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。 (他人の介助がなければ日常生活のほとんどができない状態) |
| 2級 |
身体機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。 (必ずしも他人の介助を必要としないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない状態) |
| 3級 |
身体機能や精神、神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの。 (日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある状態) |
最後に
記事をお読みいただいて、「自分の場合はどうだろう?」と思われた方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、当法人へご相談ください。
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