呼吸器疾患の障害認定基準
障害年金には1級・2級・3級の3つの等級があります。加入していた年金制度によって受け取れる等級が異なります。国民年金は1級・2級まで、厚生年金は1級から3級まで(および障害手当金)が対象となります。
呼吸器疾患の認定対象となる主な病気は、慢性呼吸不全(COPD、間質性肺炎、肺結核後遺症など)、気管支喘息、じん肺、肺がん、肺移植などです。
1. 慢性呼吸不全の障害認定基準
肺結核の後遺症や間質性肺炎などを含む「呼吸不全」の認定は、「検査成績(動脈血ガス分析値など)」と「一般状態区分表(日常生活の制限度)」を組み合わせて総合的に行われます。
【慢性呼吸不全】等級の目安
| 等級 | 障害の状態(組み合わせ) |
| 1級 |
検査成績が高度異常を示し、かつ、一般状態区分表の「オ」に該当するもの (ベッド周辺の生活に限られる状態) |
| 2級 |
(屋内生活はおおむねできるが、介助が必要または外出が困難な状態) |
| 3級 |
(軽労働や座業はできるが、肉体労働に制限がある状態) |
【重要】検査成績の異常値(A表)
等級判定のカギとなる「高度異常」「中等度異常」などの区分は、以下の数値で定義されています。
※原則として、症状が安定している時期に測定した数値を用います。
| 区分 | 動脈血O₂分圧(PaO₂) ※最も重視される数値 |
予測肺活量1秒率 (参考項目) |
| 軽度異常 | 61 ~ 70 Torr | 31 ~ 40 % |
| 中等度異常 | 51 ~ 60 Torr | 21 ~ 30 % |
| 高度異常 | 50 Torr 以下 | 20 % 以下 |
※なお、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO₂)が限界値範囲(異常値)にある場合は、換気機能の低下も考慮され、より重い等級として認定される可能性があります。
【重要】一般状態区分表(日常生活の制限度)
| 区分 | 一般状態の状態 |
| ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
| イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業(軽い家事や事務等)はできるもの |
| ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
| エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
| オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
2. 在宅酸素療法(HOT)の取り扱い
💡 在宅酸素療法を行っている方へ
常時(24時間)の在宅酸素療法を施行中のもので、かつ、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは、原則として3級と認定されます。
ただし、臨床症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等(上記の一般状態区分表が「ウ」や「エ」に該当する場合など)によっては、さらに上位の2級以上に認定される可能性があります。
※障害認定日は「在宅酸素療法を開始した日」となります(初診から1年6ヶ月以内の場合)。
3. 慢性気管支喘息の障害認定基準
気管支喘息は、呼吸不全の数値だけでなく、発作の頻度、強さ、治療内容を考慮して認定されます。
| 等級 | 障害の状態 |
| 1級 | 最大限の治療を行ってもなお発作強度が大発作であり、無症状の期間がなく、一般状態区分表の「オ」に該当するもの |
| 2級 | 呼吸困難を常に認め、一般状態区分表の「エ」又は「ウ」に該当し、かつ長期のステロイド治療等を必要とするもの |
| 3級 | 喘鳴や呼吸困難を週1回以上認め、労働が制限されるもの |
※「大発作」とは、呼吸困難のため会話ができない、チアノーゼがある、意識障害がある等の重篤な状態を指します。
4. じん肺の障害認定基準
じん肺は、「じん肺法」による胸部X線写真の区分(第1型~第4型)と、肺機能の障害度を組み合わせて認定されます。
| じん肺の区分 | 認定される等級の目安 |
| 第4型 (大陰影あり) |
|
| 第1型~第3型 (粒状影など) |
|
5. 肺結核・肺がん・肺移植の認定
① 肺結核
- 治療中(活動性):排菌の有無、空洞の有無、治療の効果などを考慮して認定されます。
- 治癒後(後遺症):治癒した後も呼吸不全などの障害が残る場合は、上記の「1. 慢性呼吸不全の障害認定基準」により認定します。
② 肺がん
- 肺の一部を切除したことによる呼吸機能の低下がある場合は、呼吸不全の基準で認定されます。
- 呼吸機能に著しい障害がなくても、抗がん剤治療の副作用や転移による全身衰弱がある場合は、「その他の疾患」の基準(一般状態区分)を準用して認定されることがあります。
③ 肺移植
💡 肺移植後の認定について
- 術後の等級:肺移植を受けたものは、1級に認定されます。
- 期間:術後1年間は1級とされ、その後は症状や治療経過、拒絶反応の有無などを考慮して再認定されます。
最後に
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