【社労士の視点】衝撃の「判定破棄」発覚。障害年金審査における「不正な介入」の実態とは

2024年12月28日、障害年金の実務に携わる私たち社会保険労務士、そして何より当事者である障害をお持ちの方々にとって、耳を疑うようなニュースが飛び込んできました。

日本年金機構において、障害年金の審査を担当した医師の判定結果を、機構職員が独断で破棄し、別の医師に判定をやり直させていたという事実が明らかになったのです。

これまで当コラムでは、「障害年金審査に見えざる手があるのではないか?」「不支給倍増の背景に何があるのか?」という懸念を繰り返し発信してきました。

今回の報道は、まさにその「見えざる手」の正体が、ルールを逸脱した人為的な介入であったことを裏付ける決定的な証拠と言えます。この問題の本質と、今後の影響について解説します。

報道された「判定破棄・差し替え」の手口

共同通信などの報道によると、発覚した不正な事務処理の概要は以下の通りです。

【報道の概要】
障害年金の支給・不支給を審査するのは本来、認定医(医師)の役割です。
しかし、日本年金機構の障害年金センターにおいて、医師が出した判定結果に対し、権限のない職員が「判定が甘すぎる」「厳しすぎる」などと主観で判断。
その判定が記された記録(認定調書)をひそかにシュレッダーなどで破棄し、別の医師に判定を依頼していたことが判明しました。
さらに、再判定を依頼された2人目の医師には、前の医師が判定済みであることは伝えられていなかったとのことです。

これは単なる事務ミスではありません。「支給されるはずだった人が不支給になった(あるいはその逆)」という、受給権の侵害に直結する極めて重大な問題です。

なぜこのようなことが起きたのか?

この問題の根底には、以前から指摘されている「等級判定ガイドラインの運用強化」「地域差の解消」という名目のもと行われてきた、組織的な締め付けがあると考えられます。

1. 職員による「事後検閲」の常態化

本来、医学的な判断は医師に委ねられるべきですが、機構内部では「認定医の判断にバラつきがある」ことを理由に、職員が判定内容をチェックする体制が強まっていました。
しかし、医学知識を持たない事務職員が「この診断書で2級は甘いのではないか?」と判断し、自分たちが望む結果(多くの場合は不支給や下位等級)を出してくれる医師を探して判定をやり直させる行為は、審査の公平性を根底から覆すものです。

2. 「不支給ありき」のバイアス

過去の記事でも触れましたが、近年、精神障害などを中心に「不支給判定」が急増していました。今回の報道にある「甘すぎる」として破棄されたケースが多数あるとすれば、「本来なら受給できていたはずの申請が、職員の介入によって不支給に書き換えられた」可能性が極めて高いと言わざるを得ません。

「見えざる手」の正体判明が意味するもの

私たちはこれまで、診断書の内容と実際の判定結果に乖離があるケースに直面するたび、「なぜこれで落ちるのか?」「審査基準がまた変わったのか?」と頭を悩ませてきました。

しかし、今回の報道により、その原因の一部が「医学的判断ではない、組織的な介入」であった可能性が浮上しました。
「認定調書をシュレッダーで破棄する」という隠蔽工作が行われていた事実は、行政に対する信頼を著しく損なうものです。

今後の動きと私たちに必要な対策

日本年金機構は取材に対し、事実関係を認めています。今後は、対象件数の調査や、不当に判定が変えられたケースへの救済措置(再審査や遡及支給)が焦点となるでしょう。

これから申請を行う方、そして現在審査結果を待っている方にお伝えしたいのは、以下の2点です。

① 審査はより「厳格」かつ「不透明」な状況にあると認識する

このような不正が明るみに出たことで、一時的に審査が適正化(あるいは停滞)する可能性があります。しかし、審査の現場が混乱している今だからこそ、提出書類(診断書・病歴就労状況等申立書)の完成度を極限まで高め、「誰が見ても(どの医師に回されても)等級に該当する」といえる証拠を揃えることが重要です。

② 不当な決定には徹底して対抗する

もし、診断書の内容から見て明らかに不当な結果(不支給や下位等級)が届いた場合は、今回の報道のような背景がある可能性も否定できません。
泣き寝入りせず、「審査請求(不服申し立て)」を行うことの重要性が、これまで以上に高まっています。

当法人では、この問題を注視し続けるとともに、不当な判定により苦しむ方が一人でも減るよう、専門家の立場から徹底したサポートを行ってまいります。
ご自身の審査結果に疑問がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

参考ニュース:【独自】障害年金、医師の判定を破棄 機構職員、ひそかにやり直し(共同通信)

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