その他の疾患(人工肛門・臓器移植等)の障害認定基準

障害年金には1級・2級・3級の3つの等級があります。加入していた年金制度によって受け取れる等級が異なります。国民年金は1級・2級まで、厚生年金は1級から3級まで(および障害手当金)が対象となります。

「その他の疾患」とは、個別の認定基準が定められている眼・聴覚・肢体・精神・呼吸器・循環器・腎・肝・血液・代謝(糖尿病)・がん・高血圧以外のすべての疾患を指します。
具体的には、人工肛門・新膀胱、臓器移植、遷延性植物状態、腹部臓器の術後後遺症、難病などがここに含まれます。

1. その他の疾患の全体的な認定基準

その他の疾患は多岐にわたるため、基本的には全身状態、栄養状態、年齢、予後などを考慮し、以下の「一般状態区分表」を用いて総合的に認定されます。

一般状態区分表(等級の目安)

区分 一般状態の状態 等級目安
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの 非該当
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業(軽い家事や事務等)はできるもの 3級
(相当)
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの 3級
または
2級
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの 2級
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの 1級

2. 人工肛門・新膀胱(ストマ)の認定基準

人工肛門や人工膀胱(ストマ)を造設した場合は、原則として3級に認定されますが、状態によっては上位等級(2級)に認定されます。

等級 障害の状態
2級
  • 人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設したもの
  • 人工肛門を造設し、かつ、尿路変更術を施したもの
  • 人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害(カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする)状態にあるもの

※要約すると「ダブルストマ」または「ストマ+排尿機能の全廃」の状態です。

3級
  • 人工肛門を造設したもの
  • 新膀胱を造設したもの
  • 尿路変更術を施したもの

💡 障害認定日の特例(待たずに申請できるケース)

通常、障害認定日は初診日から1年6ヶ月後ですが、人工肛門等は以下のように特例があります。

  • 人工肛門・尿路変更術:造設(施行)した日から起算して6ヶ月を経過した日
  • 新膀胱:造設したその日

※ただし、これらが「初診日から1年6ヶ月以内」にある場合です。1年6ヶ月を超えている場合は、通常通り1年6ヶ月時点が認定日となります。

3. 臓器移植の認定基準

心臓移植、肺移植、肝臓移植、腎臓移植、膵臓移植などを受けた場合の取り扱いです。

等級 認定の目安
1級

3級
術後の症状、治療経過、検査成績及び予後等を十分に考慮して総合的に認定されます。
※移植を受けたからといって直ちに等級が下がるわけではなく、免疫抑制剤の副作用や感染症のリスク等も考慮されます。

💡 術後の等級継続について

すでに障害年金を受給している方が臓器移植を受けた場合、臓器が生着し安定的に機能するまでの間を考慮し、以下の期間は従前の等級(手術前の等級)が継続されます。

  • 原則:術後1年間
  • 従前の等級が3級の場合:術後2年間(経過観察期間)

4. 遷延性植物状態の認定基準

等級 障害の状態
1級 遷延性植物状態
日常生活の用を弁ずることができない状態であると認められるため、1級と認定されます。

【重要】遷延性植物状態の定義

障害認定において「遷延性植物状態」とは、以下の6項目に該当する状態が3ヶ月以上継続して見られる場合を指します(日本脳神経外科学会)。

<遷延性植物状態の診断基準の6項目>

  • 自力で移動できない
  • 自力で食物を摂取できない
  • 糞尿失禁をみる
  • 目で物を追うが認識できない
  • 簡単な命令には応ずることもあるが、それ以上の意思の疎通ができない
  • 声は出るが意味のある発語ではない

【障害認定日の特例】
その障害の状態に至った日から起算して3ヶ月を経過した日以降に、医学的観点から機能回復がほとんど望めないと認められるとき。(※初診日から1年6ヶ月を超える場合を除く)

5. 難病・その他の疾患

難病(特定疾患)や、腹部臓器の術後後遺症(ダンピング症候群、癒着性腸閉塞など)については、一律の数値基準がありません。

  • 全身状態:冒頭の「一般状態区分表(ア~オ)」による判定が重要になります。
  • 個別の基準:厚生労働省の研究班や関係学会が定めた診断基準・治療基準に該当するか、病状の経過や治療効果はどうかが考慮されます。
  • 日常生活能力:客観的所見に基づき、日常生活や労働にどの程度の制限があるかを総合的に認定します。

最後に

記事をお読みいただいて、「自分の場合はどうだろう?」と思われた方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、当法人へご相談ください。

初回のご相談は無料です。

また障害年金受給診断も無料で行なっておりますので、こちらもご活用ください。

参考:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(日本年金機構)

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